自堕落なカリスマ
記事執筆時点(2021/5/6)でチャンネル登録者数586万人を記録する大人気YouTuber・東海オンエア。
高校の同級生とバイト先の先輩の個性的なメンバーが集まって結成された6人グループで、地元のノリや破天荒な企画で若い世代を中心に人気を博している。
そんな東海オンエアのリーダーであるてつやが自身初のエッセイとなる「天才の根源」を著した。
そこには彼の生い立ちや、思考、人間性などが赤裸々に綴られている。今回は「天才の根源」を読んだ感想などを紹介していく。
【才気煥発】溢れ出るセンス
筆者自身もともと東海オンエアのファンで、一時期は中毒のように動画を漁っていた。今でも定期的に見てみたくなって、気づけばYouTubeを開いている。
動画を見てみれば分かると思うが、てつやには謎のカリスマ性がある。奇抜なファッションなのにてつやが着ているとなぜかオシャレに見えるし、ボケやツッコミにも絶妙なユーモアがある。彼の独特なセンスが随所に見て取れる。
そんな彼が著した「天才の根源」。本書にもやはり彼の抜群のセンスが滲み出ている。
特に歴代の元カノに自分を評価してもらう「元カノレビュー」などは発想が天才的過ぎるし、読んでいても面白い。
内容だけでなく、フォントや配色など、本自体の意匠にも拘っているので読んでて非常に楽しめた。
何より視覚的には写真が素敵過ぎる。レトロな雰囲気が好みだし、帯の顔面ドアップなんかは表情も合わせて写真家さんの力量を感じる。
面白さへの人並みならぬ探究心
1章 危うくまともに育つところだったーー性格の根源
2章 与えられなかった二物ーー生活の根源
3章 ロッカーからホテルまでーー恋愛の根源
4章 常に一目置かれたいーー人生の根源
構成は全四章。
第一章では幼少期や学生時代にスポットを当て、家族や友人など、性格を形成する要素である人間関係や環境について語っている。第二章では生活スキルや、日々気にかけていること、母との対談などがまとめられ、第三章では性癖やら性欲やら色々とぶっちゃけながら恋愛事情を綴る。そして最後の第四章では彼が属する東海オンエアについて、そしてYouTuberとしてのてつや自身について語っている。
読んでみて彼はユーモアに対して非常にストイックであると感じた。
他の人がやらないこと(やりたがらないこと)、それでいて面白いこと。そういう「笑いのブルーオーシャン」を常に目指していて、ユーモアに対して独自の価値観を抱いている。
おもしろい人が、舵取りも上手いとは限らない。ただの主観的おもしろさの記録ではなく、その中に「おもしろい」という観測者の視点があるかどうかが大事だと思う。
つまり、誰かが何か笑いをとる発言をしたり行動をとったりするとき、その人が面白いと感じているかどうかよりも、それを俯瞰的に見たらどう映るのか、第三者にはこの会話はどう映っているのか、それらを想像できる客観視のスキルが重要であるということだ。
例えば、身内ネタは当事者同士では面白いが、部外者にはつまらない。ならば部外者にも面白さが伝わるように情報を共有しながらトークをした方が良い。
全体のバランスや話の展開を意識することで、その会話のおもしろレベルは一段階UPする。
しかも、意識していると気づかせないように。出来るだけさりげなく、適当に。
僕は好きなことにおいては、極度の負けず嫌いである。
てつやにとって、この好きなことが「おもしろ」なのである。負けたと感じたら、敗因を学習し、努力でもってその差を補う。努力すれば勝てると確信して。
人に優しく、自分にもっと優しく
本書ではてつやの価値観や、考え方がまとめられている。母親との対談や、ネタ会議の様子なども書かれていて、動画では見れない裏の、というより素の一面を覗けて面白い。
個人的に気に入ったのは「しばゆー脱退騒動」に関するエピソードだ。
しばゆーとてつやの関係性。互いの心境、すれ違いなど、当時のてつやの気持ちが淡々と綴られている。公園のくだりを読んで、しばゆーとてつやの友情関係っていいなあと感じた。
東海オンエアのファンはもちろん、てつやを知らない人にもおすすめできる一冊だと思う。
「天才の根源」では彼の動画に対する熱意や性癖などを知ることができる。