「収める」とは
「収める」とは、主に「あるものを一定の範囲内にしまう・乱れた状態を鎮める」という意味です。何かを中に入れたり手に入れること、あるいは争いを鎮めることなどを指します。また胸中に秘める(しまう)ことから発展して「記憶や記録を未来に残しておく」といった意味もあります。
具体例・例文
- 友人は荷物が多くてトランクケースに収めるのに苦労している。
- 旅の思い出を忘れないようにカメラに収めておく。
- 彼は決勝戦で勝利を収め、昨年よりも優秀な成績を収めた。
- 紛争が収まった後も、その侍は刀を鞘に収めることなく暴れ続けた。
類義語
- しまう
- 獲得する
- 記録する
- 鎮圧する
「納める」とは
「納める」は「収める」のように「あるものを一定の範囲内にしまう」という意味があり、用途が被ることが多々あります。しかし「納める」には「しかるべきところに入れる・終わりにする」と言った独自のニュアンスがあり、特に「渡すべき金品を相手に渡す場合」と「物事を終わりにする場合」は「納める」が使われます。
具体例・例文
- 国民には税金を納める義務がある。
- 百姓は大名に年貢を納める。
- 今年の桜もこれで見納めだな。
- この商談は御用納めには成立させたい。
類義語
- 支払う
- 入れる
- 一区切りつける
- 終わる
「治める」とは
「治める」とは「状態を安定させる・統べる」という意味の言葉です。「収める」と同様に状態の沈静化というニュアンスを持っていて、混乱をなくしたり痛みが引くことを表します。具体的には病気や憤慨などの精神的身体的なストレスがなくなること、武力または言論によって土地を平定することなどがあります。
具体例・例文
- このままでは気が治まらない。
- 薬を飲んでから風邪の症状が治まった。
- 天下を治める大将軍になる。
- 警察が出動して暴動を治めた。
類義語
- 沈静化する
- 統べる
- 支配する
- 回復する
「修める」とは
「修める」には「物事を整わせる」という原義があり、そこから「学問や技術を身につける・品行方正に努める」と言った意味に発展しました。また、古語では「壊れた箇所を補う、綻びを繕う」と言った意味があり、現代でも「修復・補修・修繕」などのように使用されています。
具体例・例文
- 英語を修めるのに10年かかる人もいれば3ヶ月しかかからない人もいる。
- 何か一つでも技芸を修めたなら誇るべきだ。
- 彼は恋をしてから素行が修まった。
- 彼女は運命の人と出会って身を修めた。
類義語
- 会得する
- 身につける
- モノにする
- 角が取れる
「収める・納める・治める・修める」の違い・使い分け
- 「収める」:一定の範囲内に入れる・状態を安定させる
- 「納める」:然るべき所に入れる・終わらせる
- 「治める」:状態を安定させる・統べる
- 「修める」:学芸を身につける・心を落ち着かせる
分類としては「収める/納める/治める」と「修める」に大きく分かれます。
「修める」は扱う範囲が他と乖離しているので見分けやすいと思います。「修める」には自己発展的な意味合いが含まれます。
「納める」と「治める」が他の言葉と明確に差別化できている点としては、それぞれ締め括りを表す「終わらせる」という意味と、秩序が行き渡ることを表す「統べる」という意味があります。これらを表す文脈では「納める」と「治める」をそれぞれ使いましょう。
「収める/納める/治める」の紛らわしい意味については以下で解説していきます。
「収める・納める」の違い|「入れる」という意味
「収める」と「納める」には、それぞれ「一定の範囲内に入れる」「然るべき所に入れる」という意味があり、どちらも「入れる」という意味が共通しています。そのため「刀を鞘におさめる」などの表現では、文脈次第でどちらを使用しても通用します。
基本的には「収める」が使用されますが、金銭の受け渡しや成果物の納品などの義務的なニュアンスが含まれている場合には「納める」が望ましいです。
「収める・治める」の違い|「状態を安定させる」という意味
「収める」と「治める」には、それぞれ「状態を安定化させる」という意味が共通していて、荒れている物事が静まることを表します。例えば「嵐がおさまる」のような表現は、どちらを使用しても通用します。
ただし、天災や痛み、症状などが静まる場合は「治める/治まる」が望ましいです。