何かを売ったり買ったりするときに重要な概念となるのが「需要」と「供給」です。
今ではフリマアプリなどで個人が商品を出品する機会も増え、価格の設定に悩むことも多くなったと思います。
「需要と供給」について知れば、その悩みも解決できるかもしれません。
この記事では需要と供給について簡単に解説していきます。
需要とは
需要とは、財(モノやサービス)など、何かを望んでいる消費者の欲求のことです。
財が欲しければ欲しいほど、需要は大きくなります。
需要が価格と釣り合っているか優っている場合に消費者は購入を選択し、価格が需要を超えていれば買う気が失せる傾向があります。
日常会話などで使う「需要がある」という表現は、その対象が誰かしらに望まれている、ということを意味します。
「それ需要ある?」→「それ望んでる人なんかいるの?」 「需要しかない」→「めちゃくちゃ望まれている」
供給とは
供給とは、財を市場に出すことや、その数量を意味します。
財の対価が高ければ高いほど、供給側は供給量を増やしたなり、そのための苦労も我慢できるようになる傾向があります。
つまり、高く売れると分かっているなら、どんどん売り捌いてしまいたい、ということです。
例えば、冬になればスノーボードが高く売れるので、メーカーはスノーボードの生産量を増やすようになります。
需要曲線・供給曲線

P=価格、Q=数量、S=供給曲線、D=需要曲線、E=均衡点
価格と数量を軸に座標を作って、需要と供給を可視化したものが需要曲線と供給曲線になります。
価格が下がっていくほど買い手の購買数は増えていくので需要曲線は右下がり。価格が上がっていくほど売り手は供給量を増やしたいので供給曲線は右上がりです。
需要曲線が右下がりであるということは、限界効用逓減の法則からも導き出せます。
価格は消費者の効用の対価とみなすことができます。数量が増えていけば限界効用逓減の法則により効用は減り、払ってあげてもいい価格は下落するため、需要曲線は右下がりになります。
需要曲線のシフト
需要が増加すれば(欲しい量が増えれば)需要曲線は右にシフトします。
需要が減少すれば(欲しい量が減れば)需要曲線は左にシフトします。
シフトの要因 関連財の価格変化 ・代替財:バターが高くなればマーガリンが相対的に安くなる。 ・補完財:パンが高くなればパターの消費量も減る。 所得の変化 ・正常財:肉などはお金があれば消費量は増える。 ・下級財:質の悪い製品はお金があれば買わなくなる。 嗜好の変化 好みが変われば、消費量は増減する。 期待の変化 今後消費税が増税されると分かっていれば、今のうちに買っておこうと大衆は思う。
供給曲線のシフト
供給が増加すれば(売りたい量が増えれば)供給曲線は右にシフトします。
供給が減少すれば(売りたい量が減れば)供給曲線は左にシフトします。
シフトの要因 投入物価格の変化 小麦粉の価格が高くなればパンの生産コストが増え、生産が減少する。 技術の変化 技術進歩によって生産が楽になり、生産量が増加する。 期待の変化 トレンドカラーがオレンジだと分かれば、オレンジ色の衣類の生産が増える。
均衡
需要曲線と供給曲線が交わる点を均衡点と呼び、均衡点では需要と供給が一致するため価格が定まります。その時の価格を均衡価格、数量を均衡取引量と呼びます。

CS=消費者余剰、PS=生産者余剰
取引が均衡点で行われるとき、消費者と生産者の余剰(利得)は最大になります。均衡点での取引には無駄が発生せず、一番効率がいいからです。
価格が均衡価格よりも高ければ、実際の取引量は売り手がその価格で供給したい量よりも少なくなってしまいます。これを超過供給と呼びます。
価格が均衡価格よりも低ければ、実際の取引量は買い手がその価格で欲しいと思う量よりも少なくなってしまいます。これを超過需要と呼びます。
完全競争市場において、超過供給、超過需要が発生する場合は価格メカニズムという価格の調整機能が働き、価格は自然に均衡に戻ろうとします。
超過供給であれば価格は下落し、超過需要であれば価格は上昇するのです。
例えばパン屋がパンを作りすぎてしまい余ってしまったら、店主は価格を下げて売り捌こうとします。夜のスーパーなどで見かけるお弁当の値引きなども同様の理屈です。
まとめ
供給が増えれば需要は減り、供給が減れば需要は増えます。需要が高ければ価格をいくらか上乗せしても買ってもらえます。
フリマアプリに商品を出品しようと思ったら、「同じ商品がどれだけ出品されているか」「相場はいくらか」などを事前に確かめてみるといいと思います。