【ギリシャ神話】戦争の女神アテナ|誕生秘話

ギリシャ神話
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正義と知恵を司る戦女神アテナ

アテナは知恵や芸術、戦を司るギリシャ神話の女神で、オリュンポス12神の1柱です。ローマ神話ではミネルヴァが対応しています。

名称は「アテナ」や「パラス・アテネ」など。枕詞は眼を強調し、「眼光輝くアテナ」「梟の目のアテナ」などと表現されます。

他のオリュンポス12神のアルテミス、ヘスティアと同様に処女神です。その高潔さのために、彼女の裸を見たものなどには容赦無く罰を下しました。

アテナはギリシャの首都アテネの守護神であり、パルテノン神殿で祀られ、フクロウを聖なる動物として使役しています。同じ戦の神としてアレスがいますが、アレスが殺戮の神であるの対し、アテナは正義の神であり、その聡明さと高潔さを讃えて多くの人に信仰されました。さらにいうと絶世の美女なので現在でも高い人気があります。

アテナはギリシャ神話の神々の中でもの頭ひとつ抜けたヒーローメイカーであり、ペルセウスやヘラクレス、オデュッセウスなど、数多くの英雄たちに力を貸しています。

トロイア戦争においてもアテナはディオメデスに力を授けているのですが、その描写がとても詩的で、アテナの加護の強力さが見事に表現されているので紹介しておきます。

この時パラス・アテネは、テュデウスの子ディオメデスに、アカイア全軍中特に目覚ましい働きを示してその名を挙げさせようと、力と勇気とを授けた。その兜と楯とから炎々たる火焔を燃え上がらせたが、そのさまは、大洋に浴みして晩夏の夜空に煌々と輝きわたる星のよう、その星にも似た火焔を頭から肩から燃え上がらせ、大軍の相撃つ戦場の真直中に彼を押しやった。

岩波文庫 イリアス(上)p139

アテナの誕生

アテナはゼウスの頭からフル装備で生まれてきた戦の女神です。

なぜ頭から生まれたかと言うと、アテナを懐妊している妻の《思慮の女神・メティス》をゼウスが丸ごと飲み込んでしまったからです。

当時ゼウスはある予言に怯えていました。(予言はウラノスに言われたとかガイアに言われたとか諸説あります)

  • 父ウラノス「お前も子供に権力を奪われる事になる」
  • 祖母ガイア「メティスはゼウスを超える神を産む」

どちらにせよ、「子供がゼウスの権威を脅かす」という意味合いの予言をされ、ゼウスは怖がっていました。そのためメティスを丸呑みしたのです。

しかし安心したのも束の間、ゼウスはひどい頭痛に苛まれるようになりました。そこで神々を集め、《炎と鍛治の神・ヘパイストス》に頭をかち割ってもらうように頼みました。

ヘパイストスが特製の斧でゼウスの頭を割ると、そこから武器も防具も完全武装した状態のアテナが大人の姿で出てきました。

魔除けの盾・アイギス

アテナの装備として最も有名な盾。アイギスはギリシャ語の呼び方であり、英語ではイージスとも呼ばれます。

《鍛冶の神・ヘパイストス》によって作られた盾で、強力な魔除けの力があります。材料には幼少時のゼウスの乳母である山羊の皮が使われているともされています。

元々はゼウスのものでしたが、アテナはこれをゼウスから度々借りて、または与えられて使用していました。

英雄ペルセウスが、見たものを石化させる能力を持つ魔物メデューサを討伐し、その首をアテナに贈ると、アテナはそれをアイギスに取り付け盾に石化能力を付与しました。

親友・パラスの死

アテナはトリトンの娘パラスとともに育ち、二人は親友でした。

互いに武を競い合い仲でしたが、ある時口論となりパラスはアテナに攻撃を仕掛けました。その様子を見ていたゼウスが愛娘を殺させまいとアイギスの楯を放り込みます。

アイギスは二人の間に落ち、それに驚いたアテナの反撃の槍がパラスを貫いてしまいます。

パラスはその攻撃によって命を落とし、アテナは親友の死を深く悲しみます。

親友を忘れないために、女神はパラス・アテナを名乗るようになりました。

ギリシャの首都アテネ

アテネの地名の由来は女神アテナから来ています。

かつて《海の神・ポセイドン》とアテナはこの地を巡って争いましたが、人間にどちらが素晴らしい贈り物を渡せるかで決着をつけることになりました。

ポセイドンは湧水を、アテナはオリーブを、それぞれ人間に与えます。

ポセイドンが与えた湧水は海水であったため飲水としては使えず、オリーブの方が喜ばれたため、勝負の軍牌はアテナに上がりました。

ホメロス イリアス 上 (岩波文庫)
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