ギリシャ神話のあらすじをざっくりと解説|ヘシオドス【神々の物語】

ギリシャ神話

ギリシャ神話の成り立ち

ホメロスによって英雄の物語が紀元前9〜8世紀ごろに記述され、紀元前8〜7世紀ごろにヘシオドスによってその前日譚である神々の物語が記述されます。

  • ホメロス著「イリアス」「オデュッセイア」→英雄の物語
  • ヘシオドス著「神統記」→神々の物語

この二つの物語はギリシャ神話として後世まで語り継がれることになりました。当時はインターネットなんてない時代ですから、伝承の中でギリシャ神話には多くの説が生まれることになり、見解が完全に一致しないことも多々あります。

ギリシャ神話はローマ神話との融合を経た後、キリスト教との不和により日陰に追いやられます。しかし15世紀にイタリアのルネッサンス(文芸復興)によって絵画が自由に描かれるようになり、特にメディチ家がボッティチェリに描かせた「ヴィーナスの誕生」を筆頭に再び脚光を浴びるようになりました。

ヴィーナスの誕生

この記事では神々の物語に焦点を当てて、大まかなあらすじを紹介していきます。

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序章 天地創造・原初の神々

かつて世界は混沌(カオス)に満たされていました。

そこから《大地の女神・ガイア》が生まれ、続いて《天空の神・ウラノス》《奈落の神・タルタロス》《愛の神・エロス》などの原初の神々を創造しました。

ガイアはウラノスと交わり、そこからさらに多くの神々が誕生します。この世代の神々をティタン神族と呼びます。

ガイアとウラノスの子供には「醜い子」も含まれていました。それがキュクロプスやヘカトンケイルなどの怪物です。ウラノスは彼らを嫌って、奈落の神であり奈落そのものでもあるタルタロスへと幽閉してしまいました。しかし醜いと言っても子供には変わりありません。ガイアは深く悲しみ、ウラノスに憎しみを抱くようになります。

そしてガイアはティタン神族の末弟、つまり息子である《農耕の神・クロノス》をそそのかします。

「クロノスよ。ウラノスを討ちなさい。あなたが神々の王となるのよ」

「はい。母上」

クロノスは魔法の金属・アダマスの鎌を握りしめ、夜の闇に潜んで虎視眈々とウラノスを狙います。ガイアがウラノスを誘惑し隙を作ると、すかさずクロノスが飛び出して、ウラノスの性器を切り落としてしまいました。そしてウラノスの追放に成功します。

こうしてウラノスの時代は終わり、クロノスによる支配が始まりました。

一章 ゼウス誕生から王になるまで

クロノスは《大地の女神・レア》と結婚し、彼女との間に《ヘラ》《ハデス》《ポセイドン》などの子供を設けます。この子供達を便宜上ここでは第一世代の神とします。

しかしクロノスにはある懸念がありました。それは父ウラノスが残した予言です。

「お前も私のように子供に権力を奪われることになる」

この予言が脳裏に強く焼き付いて離れず、クロノスはすっかり怯えてしまいます。その結果、あろうことか生まれてくる子供たちを片っ端から飲みこんでしまいます。

レアはもう愕然。そして子供を飲み込まれないように策を講じます。

6番目の子供が産まれるとその子を隠し、代わりに石を布で包み込んで、それを赤子だと偽ってクロノスに渡しました。

「ほら、生まれましたよ」

「よしよし、生まれたか……。でも裏切られるかも! ゴックン!」

クロノスはその石を飲み込んでしまいます。

レアは隠していた子供を義母のガイアに預け、クロノスに見つからないように育ててもらいました。その子供こそが《天空の神・ゼウス》です。

そして時は流れ、ゼウスは立派な神になりました……。

親子の戦い|ティタノマキア

成長したゼウスは父クロノスに反旗を翻します。

ゼウスはレアと協力しクロノスに薬を飲ませ、彼が飲み込んでいた兄や姉を吐き出させます。

ゼウスは兄弟姉妹と力を合わせ、クロノスも彼の兄弟姉妹と力を合わせ、ここに第一世代vsティタン神族の大戦争が勃発します。この戦争をティタノマキアと呼びます。

ゼウスはタルタロスに幽閉されていたティタン神族の成り損ないであるキュクロプスたちを味方につけ、雷霆(ケラウノス)を手に入れます。

ゼウスの放つ雷霆は空を光で埋め尽くし、宇宙を焼き尽くし、天を崩しました。

こうして長い戦いを経て遂にゼウスはクロノスを倒します。ティタン神族をタルタロスに幽閉し、ティタノマキアは第一世代の勝利で幕を閉じました。

戦争で特に活躍したゼウス、ポセイドン、ハデスはくじを引き、それぞれ《天空》《海洋》《冥府》を支配します。

祖母と孫の戦い|ギガントマキア

ティタン神族をタルタロスに幽閉したはいいんですけど、それをよく思わない神様が一人。

そう、ティタン神族の母親であるガイアです。彼女は大事な子供たちが幽閉されてしまって孫のゼウスに対して激しく憤ります。

ガイアはかつてクロノスがウラノスの性器を切り落とした時に流れた血から受胎し、ギガースという巨人達の軍団を生み出しました。

ギガースはその巨大な体躯と凶暴な性格で、ゼウス軍を苦しめましたが、ゼウス軍はこれをなんとか退けました。

この戦いをギガントマキアと呼びます。

ラスボスとの死闘|テュポーン

ギガース達までやられてしまい、ガイアは最終手段にでます。

《奈落の神・タルタロス》と交わり、ギリシャ神話史上最強最大の怪物・テュポーンを誕生させます。

上半身は人で下半身は大蛇、肩からは無数の蛇が生えています。頭をもたげば星を掠め、腕を広げれば世界の端まで届き、光り輝く目玉や口からは炎が吹き出し、あらゆる種類の声を操り、その咆哮は大地を震わします。

その強さは神々最強のゼウスに匹敵するほど。台風(Typhoon)の語源でもあります。

一度はゼウスを敗るものの、ヘルメスなどの助けによって形勢が逆転。テュポーンは《運命の神・モイライ》に騙されて「絶望の果実」を「希望の果実」と思い込んで食べてしまい、戦闘不能になったところをゼウスによって封印されました。

かくしてゼウスの王権が確立します。

ここまでのおさらい
  • 混沌からガイアが誕生し、ウラノスとの間にティタン神族を設ける。
  • ティタン神族の末弟であるクロノスが父ウラノスを倒す。
  • クロノスとレアが第一世代の神々を創るが、ゼウス以外はクロノスに飲み込まれる。
  • 成長したゼウスが反旗を翻し、クロノスを倒す。
  • ギガースやテュポーンなどのガイアの手先を打ち破り、名実ともにゼウスが神々の王となる。

王権

  1. ウラノス
  2. クロノス
  3. ゼウス

二章 ゼウスと愉快な仲間たち・オリュンポス十二神

実はゼウスは大の女好きで、しかも強いからモテモテでした。だからあっちこっちでやりたい放題で、神も人も選ばずに女遊びにふけり、たくさんの子供を設けます。《結婚の女神・ヘラ》を正妻に迎えた後も、彼の女癖は治らず、浮気を繰り返しました。

こうして生まれたゼウスの子供達をここでは便宜上第二世代としておきます。

第二世代の神も先の戦争で活躍し、勝利に大きく貢献しました。

そしてゼウスの兄弟姉妹である第一世代と、ゼウスの子供達である第二世代の神々の中から、男女6柱ずつのエリート集団が誕生します。

それがオリュンポス12神です。

オリュンポス12神メンバー
  • ゼウス
  • ヘラ
  • アテナ
  • アポロン
  • アフロディーテ
  • アレス
  • アルテミス
  • デメテル
  • ヘパイストス
  • ヘルメス
  • ポセイドン
  • ヘスティア

オリュンポス山の頂上に住み、ゼウスを主軸にして彼らが世界を支配することになります。

オリュンポス12神と同等の神としてハデスとその妻ペルセポネがいますが、彼らは冥界に住んでいるのでここでは数えられていません。

この時代の神々にはたくさんの逸話があります。これらの逸話は後世の、つまり我々が生きている現実世界の自然の摂理や事象の由来を説明しているものが多いです。

首都アテネの由来

プロメテウスの火

パンドラの箱

物語の主役は神々から人類へ……

ゼウス政権が確立したことにより、神々の物語はそこで一旦区切りとなって、その後は人類の戦争や英雄の物語が紡がれることになります。

まとめ

  • カオスから原初の神が生まれ、ウラノスが王となる。
  • ティタン神族のクロノスが父ウラノスから王位を奪う。そして自身の子供達を飲み込む。
  • レアの策で生き延びたゼウスが父クロノスから王位を奪う。
  • ゼウスは祖母ガイアの手先との戦いに勝利する。
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