ついつい美味しそうな匂いや見た目に釣られてお菓子を買ってしまう。そんな経験はありませんか?
実はそれは食べたいと思わせるインセンティブが働いたためです。
ではインセンティブとは何でしょうか?
言葉自体を聞いたことあるけど意味はよくわからない。モチベーションと何が違うの? そんなふうに思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事ではインセンティブの意味や使い方についてわかりやすく解説していきます。
インセンティブの意味・使い方
インセンティブとは英語のIncentiveのことで、意味は「刺激、誘因、動機」です。
つまり、インセンティブとは「ある人に行動を起こさせるための、外部から与える刺激」のことを意味します。
簡単に言うと「動機付け」のことです。
嬉しいことや喜ばしいこと、効用を得ることができる何かが提示されると、その人の意欲は掻き立てられて、行動を起こすようになります。これを「インセンティブに反応している」と言います。
インセンティブには様々なものがあって、例えば服を着ると言う行動一つ取っても、「体温を調節するため」「体を隠すため」「オシャレをするため」「紫外線を防ぐため」「汗を吸わせるため」と、たくさんのインセンティブがあります。
使い方
- インセンティブに反応する。
- インセンティブが働く。
- インセンティブを与える。
- インセンティブを高める。
また、ビジネス用語のインセンティブには「報奨金」と言う意味もあり、ビジネスシーンなどでは次のように使われます。
- インセンティブ制度を導入する。
- インセンティブを目的に今月も頑張る。
- 社員の成果はインセンティブによって還元される。
インセンティブとモチベーションの違い
インセンティブとモチベーションはどちらも「やる気や動機」に関わる言葉ですが、その意味には違いがあります。
インセンティブは意欲を掻き立てる外的な刺激で、モチベーションは意欲そのものだったり内的な感情のことです。
要するに酸素と火みたいなものです。
酸素を供給すればするほど火種は大きくなるように、インセンティブが強ければ強いほどモチベーションは上昇します。
経済学におけるインセンティブ
経済学の第4原理において、人は様々なインセンティブに反応すると想定されています。
ここでいうインセンティブとは人々の意思決定や行動を変化させる要因のことで、誘因とも呼ばれます。
経済学では特に費用や効用をインセンティブとして想定しています。
具体例1 価格・所得の変化
値下げは買い手の意欲を駆り立てる有力なインセンティブです。モノの値段が安くなれば買い手の購買意欲が高まり、消費が増えることになります。
同様に、所得が増えた場合も需要が変化します。
例えば豚肉を下級財、牛肉を上級財と仮定すると、お金に余裕ができれば豚肉の消費が減り、牛肉の消費が増えるようになります。
「できるだけ費用を払いたくない」「できるだけ満足を得たい」。人々にはこれらの欲求があるため、価格や所得の変化は、購買意欲を変化させるインセンティブとして働くのです。
具体例2 フリーライダー問題
誰かの行動が別の誰かに影響を与えることを外部性と言い、それがプラスの影響であれば正の外部性と呼びます。
正の外部性が働く場合、対価を支払わずに利益を得る人(フリーライダー)が現れるようになり、人々にはフリーライダーになろうとするインセンティブが働きます。
このため正の外部性が働く場合、供給は過少になる傾向があります。
例えば地球温暖化を防ぐためにA国が二酸化炭素の排出量を減らしたとします。するとその恩恵は二酸化炭素をたくさん排出しているB国やC国も受けることができます。つまりA国だけがコストを支払い、相対的に損をすることになります。
このような場合、A国には二酸化炭素排出量を減らす政策を止めたいと言うインセンティブが働くのです。
しかし全ての国が他力本願になれば地球温暖化は解決しないので、国際会議などで協定を結ぶ必要があり、現在はパリ協定によって温室効果ガスの削減が目指されています。
まとめ
- インセンティブとは行動を促す外的な刺激のこと。
- ビジネスにおいては、「報奨金」と言う意味を持つ。
- 経済学においては、人々の意思決定を変化させる誘因としての意味を持つ。
インセンティブは大別すると「メリットを得る」「デメリットを防ぐ」の二つに分けられます。
つまりアメとムチです。
アメとムチを使いこなすことで、他の人の行動を促すことができ、生産性を上げることが可能です。誰かに何かして欲しいと思ったら、インセンティブを意識してみるといいです。