限界代替率逓減の法則とは? 意味や例をわかりやすく解説。

経済学

あなたは小腹が空いたのでコンビニに行くことにしました。でもお菓子やジュース、お弁当やレジ横のフライヤーなど、色々な商品に目移りしてどれを買うか迷ってしまいます。

お財布の中を見てみると、1000円札一枚と小銭が少々。

限られた予算の中で、何をどれだけ買うのが一番満足するでしょうか。どれだけお菓子を買えばお弁当を一つ諦めてもいいと思えるでしょうか。

この記事ではそんな状況を分析した「限界代替率逓減の法則」について簡単に解説していきます。

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限界代替率逓減の法則とは

「限界代替率逓減の法則」について、単語ごとに意味を解説していきます。

まず「限界」とは、「追加分」を意味する経済学用語です。ある要素を一単位増やすことを「限界」と表現します。一般的に使われるリミットや限度などの意味はないので注意が必要です。

それを踏まえた上で「限界代替率」とは、二つの財を想定したときに、片方を追加で一つ手に入れるためにどれだけもう片方を諦められるか、あるいは片方を一つ諦めるのならどれだけもう片方の見返りが欲しいかという、財と財を比べたときの、その主観的な交換比率のことです。追加で増やした財に、どれだけ他の財と交換できる能力が備わっているかを表します。

そして、「逓減」とは「少しずつ減っていく」という意味を持つ言葉です。

つまり「限界代替率逓減の法則」とは、交換能力が少しずつ減っていく法則を意味します。

消費者に1財を一つ諦めさせることができる2財の交換能力は徐々に減っていきます。元々は1:1交換ができたとしても、やがて1財一つを諦めさせるには大量の2財が必要になります。

具体例

 あなたがパンを10個持っているとします。そこにジャム商人がやってきて、パン5個をジャム1瓶と交換してくれと頼んできました。あなたは「食べられるパンの量は半分に減ってしまうが、それでも美味しく食べられるようになるのなら悪くない」と考え、交換してあげます。
 すると今度は別のジャム商人がやってきて、パン5個をジャム1瓶と交換してくれと頼んできました。あなたの手持ちのパンは5個しか残ってないので、交換したらなくなってしまいます。ジャムだけあっても仕方がないので、当然あなたはこれを断ります。商人は食い下がり、「ならパン1個とジャム1瓶を交換してくれ」と頼んできました。それなら悪くないだろうとあなたは提案をのみます。
 続いて三人目の商人がやってきて、やはりパンとジャムの交換を頼まれました。既に6個もパンを失っているあなたは、これ以上パンを失いたくないので頼みを断ります。しかし商人は食い下がり、「パン1個とジャム10瓶を交換してくれ」と頼みました。それならいいだろうとあなたは頼みを受け入れます。
 結果として、元々5:1だった交換比率が1:10に変わりました。

効用を一定に保ちながらパンの消費を減らし、ジャムの消費を増やしていくとすると、パンを一つ諦めてもいいと思えるジャムの量はどんどん増えていきます。これはパンに対するジャムの限界代替率が小さくなっているからです。
もう少し噛み砕いた表現をすると、ジャムの数量を増やせば増やすほどジャムの価値が下がり、パンへの交換能力が失われていく、ということです。

どうしても希少なパンを諦めるのであれば、せめてジャムは大量に貰わないと釣り合いません。なぜなら限界効用逓減の法則によってジャムの効用は小さくなっているからです。限界効用逓減の法則とは、簡単に言えば消費を増やせば増やすほどその財の満足度は下がっていく、という法則です。

パンとジャムの関係を式に表すとこのように書くことができます。

パンに対するジャムの限界代替率=(ジャムの限界効用)/(パンの限界効用)

パンの消費量を減らしてジャムの消費量を増やすと、パンの限界効用は増加しジャムの限界効用は減少します。つまり分母が大きくなって分子が小さくなるので、限界代替率はどんどん小さくなります。

この限界代替率は無差別曲線の傾きと一致します。片方の財に消費が偏れば偏るほど傾きは急になります。

まとめ

もう一度限界代替率逓減の法則について振り返ります。

限界代替率逓減の法則とは、財の交換能力が減少していくことです。その財一つで別の財一つを諦めさせることができたのに、それを繰り返していくと徐々にその能力は失われていきます。

つまり、ほどほどが一番ということです。

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