同じ料理を食べていると次第に飽きてくる。同じ映画を見ていると次第に感動が薄れてくる。
そんな経験はありませんか?
実はそれ「限界効用逓減の法則」が働いているからです。なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが大丈夫です。
この記事では限界効用逓減の法則について具体例とともにわかりやすく解説していきます。
限界効用逓減の法則とは
「限界効用逓減の法則」について、まずは言葉の意味から解説していきます。
- 「限界」とは経済学の概念で「追加分」という意味を持ちます。
- 「効用」とは「満足、利益」などのプラス要素のことです。
- 「逓減」は「次第に減っていくこと」を意味します。
つまりわかりやすく言い換えれば、限界効用逓減の法則は「追加的な満足が次第に減っていく法則」となります。
人は何かを消費すると満足を得ます。
ご飯や本、スポーツなど、それらを消費することによってお腹が膨れたり、感動したり、楽しかったり、ポジティブな効果が期待できるのです。
追加的な満足というのは、ご飯をおかわりした時のその追加分の一杯から得られる満腹感、本を再読した時の新たな発見、スポーツの試合をもう一度した時の達成感など、消費を追加で一単位増やした時に増加する満足のことです。
限界効用逓減の法則は財(モノやサービス)を消費すればするほど、それらから受けれる満足は少しずつ減っていくという理論です。
具体例
恋愛
付き合いたてはラブラブでお互いのことを大好きでいても、時間が経つと恋人へのドキドキが減少していく、なんてことがあると思います。
これはつまり好きな人への追加的な「ときめき」が少しずつ減少していることを意味します。毎日デートを重ねていくと、1日あたりのドキドキが日に日に減っていってしまうということです。
ときめきを恋愛から得られる満足、つまり効用と考えると、限界効用逓減の法則が成り立っていることがわかると思います。
ただ悲観的になる必要はなく、長くいればその分恋人やパートナーへの信頼や愛着、二人の思い出は増えていくので、あらゆる満足の要素を顧慮すれば総合的な限界効用は増加する可能性もあります。
食べ物
食べ物から得られる効用には主に「満腹感」と「美味しさ」があります。
ご飯を食べればお腹も膨れるし、食べ物が美味しければ嬉しくなります。しかし、どんなに大好物であっても無限には食べられません。
胃の容量は限られているし、味にも飽きてくるためです。
パイを一つ食べて、その時はとても美味しく感じます。二つ目を食べれば、やはりまだ美味しいでしょう。けれど三つ目を食べると「飽きてきた……」「お腹いっぱい」と思い始め、四つ目に至っては「もういらない」となってしまいます。
食べる量を増やせば、次第にその効用は減少していくのです。
ビール
ビールも食べ物と同様で、二杯目のビールは一杯目を越えられません。
おかわりを重ねていくと、その度にその一杯から得られる効用は減っていきます。
ただし、アルコールが回って気持ちが昂ってくれば、一定の段階まで限界効用は増加する可能性もあります。
例外は猫!?
世の中には消費しても消費しても満足度が減ることのない限界効用逓減の法則の例外が存在します。
それはズバリ猫です。愛猫家にとって猫の可愛いさは無限で永遠です。いつみても可愛いし、ずっと見ていられます。と冗談はここまでにして、限界効用逓減の法則の例外として「情報」などが考えられます。
例えば数学を例に考えてみましょう。
「1+1=2」を習ったことによる効用よりも、因数分解を学んだことによる効用の方が大きいと思います。できることの幅が広がり、知的好奇心が満たされたからです。
空が青い理由や、りんごが木から落ちる原理など、知っても知っても更なる欲求が生まれてきます。
これは筆者の個人的な意見ですが、生命の神秘や宇宙の不思議は、それが謎である限り、情報の取得による限界効用は逓減しません。
まとめ
限界効用逓減の法則は、次第に飽きてくる原理を理論だてた経済学の概念です。
・財(モノやサービス)を消費すればするほど、それらから受けれる満足は少しずつ減っていく。
限界効用逓減の法則と似た概念に、「収穫逓減の法則」というものがあります。前者はどちらかというと消費者側の視点であるのに対し、後者は企業側の視点で捉えています。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。