もしあの時こうしていれば、もしあの時に戻れたら。「もしも……」と思うことはよくあります。
その「もしも」の世界と現実とを比べたときに、その差し引きが不幸になるのであれば、それは代償を払ったからです。
今生きている世界は、選ばなかった世界で得れたはずの幸福を代償にしているのです。
メルヘンに聞こえるかもしれませんが、実はこれは経済学の機会費用という概念です。
この記事では機会費用について簡単に解説していきます。
機会費用とは
機会費用とは、ある選択をしたときに、それによって得た便益と、選ばなかった選択肢から得られたはずの最大の便益との差額、または諦めた便益自体のことです。
選んだ行動が最大の便益を生むものでなければ、便益が最大となる行動を選択していた場合と比べて、その差分の損をしていることになります。
最大の便益を得る行動を選択したとしても、そのためには別の何かを多かれ少なかれ犠牲にしています。
時間的、金銭的な制約の下で人は意思決定をしなければならないので、全てを叶えることは不可能です。必ず何かを諦めなければいけません。また、このような状況をトレードオフと呼びます。
具体例
・読書をするかランニングをするか
読書を選べば「ランニングすることで得れたはずの健康」が機会費用となり、ランニングを選べば「読書から得られたはずの教養」が機会費用となります。
・スマホをいじるか働くか
スマホを選べば「働くことによって得られた給料」が機会費用となり、仕事を選べば「スマホによって得られたリラックスや楽しみ」が機会費用となります。
・コンビニ弁当で済ませるか、レストランに行くか
コンビニ弁当を選べば「レストランで食べれたはずの美味しい料理」が機会費用となり、レストランを選べば「コンビニ弁当にすることで節約できたはずの時間とお金」が機会費用となります。
・増税するか減税するか
増税すれば「減税によって実現できた国民の負担軽減」などが機会費用となり、減税すれば「増税によって実現できた厚生の向上」などが機会費用となります。
まとめ
機会費用は過去の後悔だけでなく、これから選択をしていく上で諦めなければならない代償のことも指します。
何をするにしても必ず機会費用が発生するのです。
スマホを三時間いじることは、時給1000の人にとって3000円の機会費用を払っていることになります。
その行動から得られる便益と機会費用とを比べることで、何をすべきかがわかるかもしれません。
機会費用を意識することが、意思決定の手助けとなります。