スケールメリットとは? 規模の経済と範囲の経済の違いなども解説。

経済学

経済学の言葉には「スケールメリット」「規模の経済」「範囲の経済」、さらには「経験効果」まで、似たような意味を持つものが複数あります。

この記事ではそれらの言葉の意味や違いを簡単に解説していきます。

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スケールメリット

スケールメリットとは、企業規模の拡大に伴う優位性を意味します。

・大量生産による平均単価の減少

・ブランド力による差別化、広告宣伝費の節約

・ノウハウの蓄積、転用

・まとめ買いによる仕入れコストの軽減

・市場での優位性

企業は成長するにつれて様々な利益を得ることができます。これらは全てスケールメリットです。

規模の経済

規模の経済とは、生産規模の拡大に伴う平均コストの減少を意味します。

生産量を増やせば増やすほど、初期投資の損失は分散されて、製品を一つ作るために必要な追加的な費用は減っていきます。

これは工場や製造機械などの初期投資は、一度導入してしまえば、材料費などと違ってあとは生産量を増加しても追加的な費用を払う必要がないからです。

平均コストを式で表すと「(固定費用+変動費用)/生産量」になります。固定費用は定数なので、分母を増やせば数値は減少していきますよね。

範囲の経済

範囲の経済とは生産量の増加や、事業の拡大に伴う平均コストの減少を意味します。

範囲の経済性が働く場合、複数の製品を複数の企業が作るのではなく、一つの企業がまとめて作った方が製品単価は安くなります。違う製品であったとしても、それを作るために必要な機械やノウハウが同じであれば、共有して使うことができるためです。

また、異なる事業同士を掛け合わせたシナジー効果や研究開発の効率化なども望めます。

経験効果

事業を続けていけば、企業は学習し、応用を効かすことができるようになります。生産工程の最適化や連絡網の改善、蓄積したノウハウを使っての新規事業の拡大など、経験から得られる恩恵のことを経験効果と呼びます。

これはビジネスに限らず、日常生活でも実感していると思います。

料理やスポーツ、ゲームや勉強など、努力がそのままスキルに身につくような分野はもちろん、散歩のコースや敬語の使い方、妥協の仕方など、もはや何にでも当てはまります。

それぞれの違いは?

さて、経済学の理論について順番に見てきましたが、実際これらの概念の違いは微妙なもので、明確に区別するとなると難しいです。以下の解説には筆者の個人的な価値観が反映されていることを予めご了承ください。

・規模の経済は、生産規模の拡大に伴う平均単価の変動。

・範囲の経済は、製品や事業の多角化に伴うコストの削減。

・経験効果は、経験に基づく効率化。

・スケールメリットは「規模の経済」「範囲の経済」「経験効果」などの企業規模の拡大・成長に関する理論から、メリットだけを抽出した概念。

デメリットを含んでいないので一概には断定できませんが、スケールメリットが一番広く、包括的な概念と言えます。

これらの概念は経済やビジネスなど、あらゆる場面で効果を発揮しています。規模の経済なんかは貿易の仕組みにも関わっているので、興味があればこちらの記事も読んでみてください。

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