貿易はなぜ儲かるの? 貿易の仕組みやメカニズムをわかりやすく解説。

コンテナヤード 経済学

冷蔵庫の中にある食材や、身につけている衣服、それらの生産地を調べてみると外国産の物が多々あることに気がつくと思います。それらはどこか別の国と貿易を行い、輸入したから手に入った製品です。同じような輸入品はたくさんあって、身の回りには外国製品が溢れています。反対に日本製品も海外に輸出されているので、海外に旅行に行けば外国産として売られている日本製の商品を見かけるかもしれません。

このように貿易は世界に深く浸透しています。なぜなら貿易によって経済は潤い、国が豊かになるからです。

ではなぜ貿易は利益を生むのでしょうか? 貿易にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

それらの疑問をわかりやすく解説していきます。

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貿易とは?

そもそも貿易とは何か。

貿易とは「異国同士の財の取引」のことです。ここでいう財とは物だけでなく、サービスなども含みます。A国とB国の間で商品の売買が行われれば、それは貿易です。

自国から他国へ財を送ることを輸出、逆に財を受け取ることを輸入と、それぞれ呼びます。

似たような言葉に「交易」が存在しますが、これは貿易よりも広い意味の言葉で、国内の売買も含みます。例えば戦国時代、同じ日本ではあるけれど互いに異なる支配地域を抱える大名同士が売買を行う場合は交易となります。

ちなみに「取引」はさらに広い意味の言葉で、企業間や個人間も含み、日常会話などでもかなり汎用的に使えます。

どうして儲かるのか

貿易が行われる理由は、簡単に言ってしまえば利益が発生するからです。儲かるから貿易は行われるのです。

ではなぜ儲かるのか。その仕組みを理解する上で重要な要素となるのが、「市場拡大」「比較優位」「規模の経済」「企業淘汰」という概念です。

なんか難しい言葉が出てきたぞ、と身構えたかも入れませんが、安心してください。四つともシンプルな概念です。それぞれ解説していきます。

市場拡大

これは字面的にも比較的わかりやすいと思います。

市場が広がることで顧客が増加し、その分利益が増える。それだけの話です。貿易を行うことによって今まで国内に限られていた市場が世界に広がり、売り上げが伸びるのです。

企業が市場拡大を目指すためには「既存製品・新製品」×「既存市場・新市場」の各組み合わせからなる4パターンの戦略があるのですが、貿易は「既存製品×新市場(外国)」の新市場開拓戦略に分類されます。

比較優位

これは1817年に経済学者デヴィット・リカードが提唱した概念で、貿易理論の基礎です。

彼の貿易理論を簡単に説明すると、「各国は自分の得意な産業に集中して、苦手な産業は貿易で賄った方がいい」となります。この根拠として比較優位の概念が重要な役割を果たします。

例えばA国とB国がそれぞれ労働者200人を使って、小麦粉とオレンジを生産するとします。

A国は労働力100に対して小麦粉を1000生産でき、B国は労働力100で小麦粉500を生産できます。続いてオレンジに関して、A国は労働力100で生産量500、B国は労働力100で生産量400。小麦粉とオレンジの総生産量は2400となります。そしてA国は小麦粉もオレンジもB国より生産量が多いです。絶対値だけをみればA国の方が優位なので、絶対優位であるといえます。

しかしそれぞれの国内でみると、A国は小麦粉が得意で、B国はオレンジが得意ということがわかると思います。B国はA国に対してオレンジが相対的に優位です。これが比較優位です。

比較優位を受けて、単純にA国が小麦粉に労働力200を投入すれば生産量は倍の2000となり、B国が労働力200をオレンジに投入すればこちらも倍の800となります。合計で2800。元の2400より多くなりました。A国とB国は貿易を行いもう片方を輸入することで、より多くのマーマレードパンを食べれるようになります。

規模の経済

規模の経済とは企業の拡大や生産量の増加に伴い、製品一つあたりのコストが下がる原理のことです。製品を作るためには工場設備や製造機械などの固定費用がかかりますが、生産量が増加すればこの費用を効率的に分散させることができます。

例えば車を一つだけ生産するために工場を建てるのはもったいないですが、100万台を生産するためなら建てますよね。さらに200万、300万と増やしていけば固定費用はどんどん薄くなっていきます。

しかし規模の経済の恩恵は無限に続くわけではありません。供給が増えれば需要は減るし、投資効果も小さくなるので、その恩恵は徐々に減っていきます。これを収穫逓減の法則と呼びます。

収穫逓減の法則が働くので、他社と全く同じ商品を作ろうとすればその製品単価は高くなってしまうため、企業は差別化を図るようになります。こうして製品が多様化すると、それは消費者の満足に繋がります。消費者は同じ車を二台持つより、乗用車とスポーツカーを一台ずつ所有している方が効用が高いからです。

さらに、外国の製品を輸入すればより一層製品は多様化し、消費者の満足は上がります。製品の多様化に伴う消費者の満足の上昇が、貿易の利得となるのです。

企業淘汰

輸出額は国内総生産の重要な要素ですが、輸出をしているのは実は全企業の数%だけで、さらにその上位の一部が輸出額の大半を占めています。

貿易に参入するためには輸送費の他にも多大な初期投資が必要となり、中小企業にはその費用が賄えません。貿易の恩恵を受ける効率的な方法は、例えば現地に自社工場を設けて逆輸入するなどが考えられますが、これは金銭的余裕が十分にある企業でないと実現できません。そうすると貿易できる企業とできない企業とではさらに格差が広がっていきます。

そうして中小企業は淘汰され、その労働力は大企業へと流れていきます。すると労働者全体の賃金が上昇するので、経済は豊かになります。これが貿易における企業淘汰の恩恵です。

貿易のメリット・デメリット

貿易のメリットは上の項でお話した通り、追加利潤が望めることです。貿易をすることによって企業は利益を上げることができます。さらに、それに伴って経済全体が潤います。

「じゃあみんな貿易すればいいじゃん」と思うかもしれませんが、実際はそう上手くはいきません。企業淘汰の項でお話した通り、貿易には輸送費や初期投資、関税など様々な参入障壁があります。潤沢な資金がない中小企業が参入しづらいのはもちろん、産業単位でも貿易に踏み込めない可能性もあります。

その場合、その産業が貿易にどれだけ浸透・適合しているかが重要となります。

例えば建設業について考えてみると、地震大国である日本の建設会社は高い耐震技術を備えていますが、費用も高いため、地震が少ないような海外の地域では競争力がありません。ガラパゴス化した産業は貿易に浸透し難いと言えます。

貿易への浸透度が低かったり、現地の市場への浸透が難しかったりすると、広告費や販売促進費などが嵩んでしまい、これらもまた参入障壁となります。

また、逆輸入のために外国に生産工場を設置したり、土地を整備して輸送経路を確保することは、貿易に失敗したときに売り払って費用を回収することが困難であり、不可逆な投資となっているので多大なリスクを背負うことになります。この懸念もまた中小企業の貿易への参入障壁となります。

他にも貿易相手国の治安や経済の悪化、戦争などの「カントリーリスク」。言語や文化の違いから生じるコミュケーション不和、為替変動、信頼関係など、様々なリスクが貿易には伴うので、気軽に手を出すことはできません。

まとめ

日宋貿易や南蛮貿易、朱印船貿易など、日本は古来から貿易を行ってきました。貿易は日本の歴史と切り離せず、それに伴い文化も発展してきました。文明発展もまた、貿易のメリットと言えるでしょう。現代ではグローバル化が進み、異文化が混ざり合っています。世界経済を考える上で、貿易は重要なファクターとなります。この記事が貿易の学習の一助になれたら幸いです。

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