二財モデルは「もしも世界に財が二つしかなかったら」という架空の市場を想定しています。そうすることによって分析が簡潔になるからです。
この記事では二財モデルで使われる予算制約線と無差別曲線について簡単に解説していきます。
予算制約線とは

M=PxX+PyY M=所得、Px=X財の価格、X=X財の数量、Py=Y財の価格、Y=Y財の数量
予算制約線とは、消費者の所得と財の価格がわかっているときに、消費者が最大限買うことができる財の組み合わせの集合のことです。この時、所得(予算)は全て使い切ることを想定しています。
消費者は予算を超える購入ができません。100円の予算では150円の買い物はできません。予算が消費量に制約を与えるため、この線を予算制約線と呼びます。また、単に予算線と呼ぶ場合もあります。
例えば500円玉を持って一つ100円のリンゴと一つ50円のミカンを買いに行くとします。
これを上の式に当てはめるとこうなります。
500=100X+50Y ↓ Y=ー2X+10
ミカンを買わずにリンゴだけを買う場合、Yに0を代入してX=5となるので、リンゴを5個買うことができます。
リンゴを一つ減らして4個買う場合は、Xに4を代入してY=2となるので、ミカンも2個買うことができます。
そしてリンゴを全て諦めればミカンを10個買えるようになります。
無差別曲線とは

無差別曲線とは、消費者が2つの財を消費するときに、同等の満足を得られるような組み合わせの集合のことです。
片方の財(X)の消費が増えたら、もう一方の財(Y)の消費が減るといった具合に、無差別曲線上では一定の効用(満足度)が保たれます。
例えばマドレーヌとクッキーをそれぞれ同等に食べたいとします。すると、
「マドレーヌの個数、クッキーの個数」→「6:1」=「4:3」=「2:5」=「0.5:6.5」
となります。個数をそのまま効用と考えて無数にある各点を結んでいくと、効用が7の無差別曲線が出来上がります。
効用が増えると無差別曲線は右上にシフトし、減れば左下にシフトします。例えば効用が10の無差別曲線は上記の効用7の無差別曲線よりも右上にあります。
ちなみに現実はもう少し複雑で、片方を手に入れるためにもう片方を諦めなければいけない量は増えていきます。これを限界代替率逓減の法則と呼びます。
無座別曲線の傾きはこの限界代替率と一致します。
無差別曲線の特徴としては、「右下がり」「原点に対して凸」「無差別曲線同士は決して交わらない」というものがあります。
図示するときはこの3点を意識して座標上に曲線を描きます。
最適消費点

消費者の行動の軸は「効用を最大にすること」です。
効用最大化のためには、消費者はより右上にある無差別曲線上で消費数を決定しなければなりません。そしてその選択は予算制約線によって範囲が縛られています。
「U1<U2<U3」であるため、U3の効用が一番大きいですが、予算外のため選択不可。予算内である無差別曲線で最も効用が大きいのはU2であるため、消費者はその接点を選択することになります。
この接点のことを最適消費点と呼びます。最適消費点において、消費者は限られた予算内で効用を最大化することができます。
シフト
予算制約線も無差別曲線も最適消費点も、財の価格や所得の変化によってシフトします。
シフトは財の性質に大きく関わっているので、詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。